睡眠の質を高める_第1段
睡眠の質を高める方法として、筑波大学の柳沢正史教授の睡眠研究グループが提唱する究極の方法をご紹介いたします。
睡眠で悩んでいる方が多いと思いますが、実は今年発表された睡眠に関する調査では、20歳以上男女が睡眠に不満があると回答しています。
その結果はご覧のとおり。
その内容とは
・布団に入っても全然寝れない。
・朝起きた時の熟眠感がない。
・疲れていても1時間置きに目が覚めるなどである。
そんな中、最近では睡眠の質を上げる機能性表示食品が大注目されています。
世間のみなさんは睡眠の質に興味津々である。
どうしたら睡眠の質を高められるのか?
睡眠研究の世界的権威である筑波大学(国際統合睡眠医科学研究機構)柳沢正史教授をトップリーダーとするメンバーにて研究された睡眠の質に関する内容を調べてみたので、ご紹介します。
柳沢正史教授いわく、万人に共通する質の良い睡眠をとれる方法はなかなかなく、逆にこうすると睡眠の質が悪くなる方法はたくさんある。
つまり睡眠は、減点法で悪くなる方法を減らしていくことで睡眠の質が向上するという。
なお、睡眠の質の中でもっとも重要なのが睡眠の量。いわゆる睡眠時間である。
まず、睡眠時間を確保することがとても大事である。
また、睡眠に悩んでいる人は大きく2つに分けられる。
① 睡眠不足
睡眠不足とは、その人にとって必要な睡眠時間を確保しない生活習慣を続けていることで、実は世界33カ国の平均睡眠時間を調査した結果、日本はワースト1位で7時間22分であった。
睡眠不足が続くと免疫力が低下し、肥満、うつ、認知症、がんなどの生活習慣病リスクが増える恐れがある。
② 不眠
不眠とは、睡眠時間を確保しているが、眠りたいのに眠れないことで、不眠が慢性的に続いてしまうと日中も元気がないとなると、不眠症になります。
夢
睡眠中によく夢をみますが、
夢とは、ひとつの学説では日常起きている時にストレスのあるようなシチュエーションを睡眠中に予行演習をしてストレス耐性を高めています。
なので、ネガティブな夢を見ることは決して悪いことではなく、睡眠の質を妨げるものではない。
質のよい睡眠とは
①スムーズに寝付けること。
②寝ている途中で起きない。
③ 目覚めた時によく眠れたと実感できること。
④ 目覚めたその日の疲労感が少ないこと。
以上の4つが揃っていれば、質の良い睡眠といえます。
睡眠中には、深い眠りのノンレム睡眠と夢を見るレム睡眠があり、それが交互に訪れます。理想的な脳波のグラフはこちら。
ノンレム睡眠とレム睡眠の睡眠サイクルが一晩で4~5回とれていて、前半に眠りの深いノンレム睡眠が多く、後半にレム睡眠が多いと理想的な睡眠と言えます。
質の良い睡眠をとるためにやってはいけない6カ条をご紹介!
① 同じ寝具を使わない
例えば、10年以上同じマットレスを使い続けている人はいませんか?同じ部分ばかりに負荷がかかりマットレスがへこんでしまいます。
すると腰や背中、首に負担がかかり、睡眠が浅くなる恐れがあります。
3ケ月に一度はマットレスを上下反転&裏返しするなど1カ所にかかる負荷を分散させましょう。
また、夏は通気性がよい冷感素材。冬は熱を逃しにくい素材など季節によって自分にあった寝具に変えるのがおすすめです。
もう一つ寝具について、大切なのは寝返りを妨げない寝具を選ぶようにしましょう。
寝ている時は無意識のうちに寝返りを打ちます。つまり、自然に寝返りが打てないと睡眠の質が悪くなります。
寝返りがしやすい自分に合う枕選びのポイント
枕に頭を置き仰向けになったあと、胸の前で手を組んで膝を立てます。
この状態で楽に寝返りが打てると寝ている時も寝返りの妨げとなりません。
また、寝る時の服装も自分に合うものを見つけるということも大事なポイントです。
② ながら睡眠に注意
ながら睡眠とは、音楽を聴きながら、スマホ画面を見ながら寝てしまうとか、何かをしながら寝てしまうこと。
リラックスのためと思い、寝る直前に音楽を聴き、そのまま眠ってしまうと聴力は睡眠中も働いているため、常に脳に刺激がある状態です。
結局、起きて音楽を消してしまったという経験があると思います。それは睡眠が浅い証拠です。
③ 寝る前のアルコールはNG
寝る前に飲むアルコールは確実に睡眠の質を悪くします。
アルコールには、催眠作用があるため、よく眠れると思われがちです。
しかし、数時間後アルコールは脳を興奮させるアセトアルデヒトという物質に変わってしまいます。
そのため、途中で起きてしまうなど眠りが浅くなってしまいます。
さらにアルコールには利尿作用があるため、夜中にトイレに起きてしまうこともあります。
なので、アルコールは食事に合わせて晩酌するのがよく、お酒が抜けてから寝るのが理想です。
④ リビングの光に注意
目に入ってくる光の総量でいうとスマホの光よりリビングなどの部屋の照明の方がずっと多い。日本の住宅の照明は明る過ぎるのが問題です。
電球には、電球色、昼白色、昼光色がある。
なかでも昼光色は青色の光の波長を多く含むため、夜に見ると睡眠ホルモンであるメラニンの分泌が妨げられてしまいます。
寝る2時間前くらいから部屋の明かりを少し暗くすることで睡眠の質がアップしたという実験結果も報告されています。
夜は間接照明だけで過ごしたり、明るさを調整したりすることが安眠につながります。
また、夜寝る前にスマホを見るとスマホから発せられるブルーライトは青空の光に含まれる波長のため、脳が「今は昼だ!」と勘違いして睡眠ホルモンであるメラニンの分泌が妨げられて眠れなくなります。
実はスマホには、光以外にもうひとつの注意点があります。それは脳が興奮して眠れなくなること。寝る1~2時間前には、なるべくスマホを使わないようにしましょう。
⑤ 睡眠中はエアコンを切らない!
エアコンは入眠後1~2時間後に切れるようにと聞いたことがあると思いますが、実はこれは間違い。
睡眠中は部屋の温度を一定の快適な温度に保つのがとても大事です。
そのためには、エアコンは夏も冬も朝までつけっぱなしの方がいいと思います。電気代がもったいないという人がいるかもしれませんが、良い睡眠の方が多少の電気代より高いといえます。
設定温度は自分が快適な温度を見つけるとよいでしょう。
また、睡眠中に暑く感じる時は無意識のうちに足を出したり、寒い時は体を掛けふとんで覆ったりして体温調節しています。夏でも薄くても良いので、何か掛けて寝るようにして下さい。掛けないのが快適という時点でその部屋は暑すぎると思って下さい。
しかし、これから冬にかけて冷えるからくつ下を履くのはNG。
睡眠は深い眠りに入る時、自然と体温が下がってきます。これは質のよい睡眠のためには必要なことで、体の熱は主に手先や足先から放出されるので、くつ下を履いている人は熱が逃げにくくなってしまいます。
そのため、体温が下がらず睡眠が浅くなってしまいます。冷え症の人はレッグウォーマーなど足先からの熱放出を妨げないよう自分なりに工夫しましょう。
⑥ 午後3時以降の昼寝は避けましょう!
最近、昼寝はパワーナップ(積極的仮眠)と呼ばれ、昼寝をして起きた後の日中のパフォーマンスが上がるといわれています。
昼間の仮眠は確かに効果的ですが、遅くとも午後3時までにとるようにし、午後3時より遅くに仮眠をとってしまうと夜眠れなくなります。
さらに昼寝は20分以内としましょう。20分以上の睡眠をとってしまうと深い睡眠に入ってしまい、深い睡眠のため、スッキリ起きられずに起きた後も眠気やダルさが残ってしまいます。
昼寝をする前にコーヒーを飲むとスッキリ起きられます。
コーヒーに含まれるカフェインは30分後に効果が表れ、ちょうど昼寝から覚める頃にスッキリと目覚めると言われています。
また、柳沢教授の研究チームが2020年に発表した寝室に木製の家具や内装材を置くと良い睡眠が得られると発表しています。
これは671人にアンケート調査をしたところ、木製の家具や内装材の多い部屋で寝た人は安らぎを感じると答えた人の割合が高かったのです。メカニズムの詳細は不明ですが、恐らくリラックス効果が関係していると思われます。
柳沢教授がおススメする良く眠れる方法
数少ないひとつが
①暖かいお風呂に入浴する
寝る1~2時間前に暖かいお風呂に入浴して深部体温を少し上げてあげておきます。深部体温が下がっていく時に入眠に入ります。
②もう一つ大事なことは自分の生活リズム
体内時計の性質が年齢によって変わってくるのが知られています。子どもは朝型、思春期になるとほとんどが夜型になり、40~50代以降は朝型に戻ってきます。
自分が朝型か夜型かMEQテストでチェックできます。19項目の質問に回答することで朝型、夜型、中間型か診断できます。
以下をタップして、朝型か夜型か診断しましょう!
ちなみにわたしは朝型でした。
夜型の人は注意が必要!
一般社会では、夜型は色んな面で不利です。
朝の出勤時間、登校時間が決まっているにもかかわらず、夜型の人は夜眠くならない。結局、睡眠時間が削られる結果となります。出来るだけ体内時計をそれ以上遅らせない工夫が必要です。朝起きて日光を浴びるのが、体内時計の調整には効果的です。
また、夜の運動は脳が活性化して睡眠の観点からはよくない。夜型の人は朝運動した方がいいでしょう。これは夜型の体を強制的に起こしてあげる効果があります。
皆さんもよい睡眠をとるために気になったことがあれば、是非実践して、質の高い睡眠がとれるようやってみてはいかがでしょうか。
柳沢教授の研究HPはこちら
引用/筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構/睡眠をめぐるミステリーの解明研究
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