NISAとiDeCoについて
NISA(ニーサ)とiDeCo(イデコ)を一度は耳にしたことがあると思いますが、イマイチよくわからないし、どんなメリットがあるのという方のためにNISAとiDeCoについて徹底解説いたします。
NISAとiDeCoは国が後押しする税制優遇制度なので、利用しないで放っておくわけにはいかないでしょう。
なにしろ、この制度を使って得た利益には税金か掛からないなど所得税と住民税の節税効果が得られる凄いメリットがありますので、詳しく解説いたします。
メガバンクではお金が増えない
現在、日本国内には代表する3大メガバング(巨大な都市銀行)があります。
「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」が3大メガバンクです。
これらメガバングの定期預金の年間利率は0.002%なので、メガバンクに仮に100万円を1年間預けていてもたった20円(税引き後は16円)しか利息はつきません。
また、りそな銀行はメガバンクではなく都市銀行ですが、メガバンク同様に定期預金の利率は0.002%です。
参考まで定期預金の利率が高い銀行ランキングを以下のリンクで紹介
NISAとiDeCoの概要
メガバンクの定期預金に預けておくだけではお金は増えません。
「預けて増やす」から「投資して資産形成する」ことに対して国が後押しするために作った投資制度をNISAといいます。
個人が一定額を積立て資産形成する年金制度のことをiDeCoといいます。
この制度活用にあたっては、金融機関にて口座開設が必要です。
NISAやiDeCoを取扱っている金融機関は証券会社や銀行などありますが、手数料の低さから最近ではネット銀行もしくはネット証券での口座開設者が多く見られる傾向があります。
これら制度をうまく活用し、今後の資産形成や子どものための教育費や老後資金など将来に必要なお金を備えるため、積極的に活用していきましょう。
制度活用にあたっては制度の特徴(メリット、デメリット)を十分理解した上で活用するようにしましょう。
制度の特徴を詳しく解説しますので、ご覧ください。
NISA(ニーサ)
まず、NISAから説明します。
NISAとは国民の資産形成を応援する国の税制優遇制度のことで正式には「少額投資非課税制度」といいます。
NISAの由来
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとしてNISA(Nippon Individual Savings Account)という愛称;ニーサで呼ばれています。
NISAには3種類ありますので、少し説明しておきます。
NISA(ニーサ)の種類
注意事項
・一般NISAとつみたてNISAの併用はできません。
・NISAの最低積立金額は金融機関によって100円から可(1,000円のところもあります)
運用利益非課税
株式や投資信託などの運用で得た利益や配当金を一定額非課税にする制度です。
通常、NISA口座以外の一般口座や特定口座にて株式や投資信託で得た運用利益に対しては20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で運用利益が出た場合は税金がかからず非課税となります。
運用利益が非課税となるメリットというのがピンとこない方もいるかもしれませんので、具体例を示して説明します。
下図を参照ください。
たとえば、元本100万円を投資信託にて外国株式を購入し、10年間運用していた事例を見てみましょう。100万円の元本に対して10年後には資産が356万円に増えているという結果になっています。
もし、NISAを使わずに運用をしていた場合は利益に対して20.315%の税金がかかることになりますので、256万円×20.315%=約52万円の税金がひかれ、手元に残る資産は304万円になります。
これが非課税になるということは手元に356万円がそのまま残るということです。
運用利益が非課税になるメリットはとても大きいことをお分かりいただけたかと思います。
一般NISA・つみたてNISAチェックポイント
さて、あなたは一般NISAを選択したらいいのか、つみたてNISAがいいのかどちらを選択しますか?自分の投資スタイルをあった方を選択しましょう。次の項目をチェックして選択の目安にしましょう!
一般NISAは2023年末まで運用可能ですが、2024年以降は新NISAに移行されますので、一般NISAと新NISAの違いを簡単に説明します。
一般NISAと新NISAの比較
新NISAのイメージ
次にiDeCo(イデコ)を説明する前に日本の年金制度について簡単に説明いたします。
日本の年金制度
我が国の年金制度は下図のとおり3階建てとなっています。
1階部分は公的年金として自営業者や専業主婦(主夫)の加入が義務づけされている国民年金。
2階部分は公的年金として国民年金に加えて会社員や公務員の加入が義務づけされている厚生年金。
3階部分は企業年金、厚生年金基金や確定拠出年金など任意で加入できる私的年金で構成されています。
確定拠出年金には「企業型」と「個人型」があり、企業が導入する「企業型確定拠出年金」とiDeCoは「個人型確定拠出年金」です。企業型確定拠出年金を企業型DCといいます。
日本の年金平均受給額
・国民年金は月額約56,000円が受給されます。
・厚生年金は月額約146,000円が受給されます。ただし、この受給額には国民年金の受給額が含まれています。
iDeCo(イデコ)個人型確定拠出年金
次にiDeCo(イデコ)について徹底解説いたします。
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで簡単に言うと自分で作るオリジナル年金です。
イデコとは英単語の一部から作られた造語です。
60歳まで毎月一定の金額を金融機関に拠出して金融商品を選んで運用し、年金や一時金で受け取る年金制度です。iDeCoの一番のメリットは税金を安くでき、積み立てた金額が所得から控除され、所得税や住民税を安くできます。詳しく説明します。
iDeCo(イデコ)の特徴
①掛け金を積めば積むほど節税になる。
②資産運用で儲けた利益は非課税になる。(NISAと同様)
③NISAとの税制上の大きな違いは
a.掛金が全額所得控除の対象となり所得税と住民税の節税効果が得られる点が特徴です。
b.資産を受け取る際にも「退職所得控除」や「公的年金等控除」の対象となります。
iDeCo(イデコ)の4大メリット
①iDeCoで積立すると住民税と所得税が軽減されます
掛け金(投資元本)の拠出時に全額所得控除になります。掛け金×税率が安くなります。
具体的な事例で説明しますと所得税率20%、住民税10%の場合なら合算すると税率30%となり、投資元本800万円の場合、800万円×税率30%=240万円。240万円が節税となりiDeCoで早い時期から運用を開始すればするほどお得になります。
②iDeCoで運用すると運用利益が全て非課税となります
通常、売却益・配当金・利息などには20.315%の税金が掛かりますが、iDeCoの運用にて得た利益には一切税金は掛かりません。
③60歳以降、老齢給付金を受け取る際にも退職金所得控除や公的年金等控除として税負担が軽減されます
④60歳以降、仮に自己破産となっても老齢給付金は「差し押さえ禁止財産」であり、没収されることはありません
iDeCo(イデコ)のデメリット
原則60歳まで引き出せない。
加入期間によって受給開始可能年齢が変わります。
iDeCo(イデコ)の加入資格・制約事項
iDeCo関連の法律改正
65歳までiDeCo(イデコ)に加入できる対象者とそうでない対象者
65歳まで積み立てができるのは60歳以降も何らかの公的年金制度に加入し、保険料を納めていることが条件となります。
①専業主婦(主夫)
専業主婦(主夫)の第3号被保険者は国民年金保険料を60歳までしか納付していないので、iDeCoの加入も60歳で終了するので、加入対象外となります。
②自営業者
自営業者などの第1号被保険者については原則として60歳以降は国民年金保険料の納付義務がありません。働いていたとしても国民年金保険料を納めなくていいのですが、この場合iDeCoにも加入できなくなります。
ただし、任意加入という仕組みで40年の満額納付をしていない人、最低保険料納付期間を満たしていない人などが60~65歳のあいだも国民年金保険料を納付できる仕組みがあります。これを利用している場合は保険料を納付している実態があるのでiDeCoにも加入することが認められています。
③会社員および公務員
60歳以降も会社員(正社員あるいは正社員に準じる形で働いている人)として働き続ける場合、「厚生年金保険料」を納付しておれば60歳以降もiDeCoに加入できます。
次の事由に該当する場合は60歳までしかiDeCoに加入できません。
a.勤務日数を少なくしているなどの理由で厚生年金の適用外となっている人
b.会社と個人事業主として労働契約をしている人
c.厚生年金対象外となっている人
iDeCo(イデコ)月額の掛け金(積立額)
iDeCoの掛け金は被保険者の種別によって月額一定額しか積立できないように定められています。
iDeCo(個人型確定拠出年金)による資産形成イメージ
iDeCo(個人型確定拠出年金)による資産形成の例
運用益計算例
・会社に企業年金のない会社員が毎月23,000円
・30〜60歳の30年間拠出
・年5%で運用
・60歳時点の資産額 約1,914万円
(積立元本828万円、運用収益1,086.2万円)
参考まで資産運用シミュレーションのリンクを貼り付けていますので、ご自由にシミュレーション計算をどうぞ!
iDeCo(個人型確定拠出年金)と企業型DC(企業型確定拠出年金)の併用について
これまでiDeCoと企業型DCの併用は認められていなかったが、2017年1月の法改正によって企業型DCに加入している人でもiDeCoに加入することが可能になっています。
しかし、企業型DCに加入している人がiDeCoに加入するには勤めている企業が一定の条件を満たしている必要があります。
企業型DCとiDeCo併用時のチェックポイント
□ 勤めている企業が企業型DCを導入している
□ 勤めている企業が企業年金規約で企業型DCとiDeCoの併用を認めていること
ここで企業型DC(企業型確定拠出年金)について説明しておきます。
企業型DC(企業型確定拠出年金)
企業型DCは企業が従業員のために将来の年金、または退職金を作ることを目的としている制度です。勤めている従業員は強制的に加入することになりますが、掛け金を支払うのは企業側なので、自分の懐が痛むということはありません。
しかし、企業によっては企業側が負担する掛け金と従業員も掛け金を負担するマッチング拠出がありますが、このマッチング拠出を採用している企業はiDeCoとの併用はできません。
マッチング拠出では従業員は企業の掛け金と同等の金額まで掛け金を拠出できます。
具体例をもって説明します。
マッチング拠出の概要
マッチング拠出とは企業と一緒に従業員が積立金を拠出できる制度であり、従業員は企業の積立金と同等の金額まで拠出できる制度です。
マッチング拠出額の比較
NISA(ニーサ)とiDeCo(イデコ)のおすすめ運用商品
口座開設するならネット証券会社がお得です。
ネット証券会社は手数料が断然店舗証券会社に比べて断然安いです。
おすすめ証券会社
SBI証券または楽天証券
おすすめ運用商品
①楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
②SBI・全世界株式インデックス・ファンド
③eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
インデックスとは指数のことで日経平均株価、TOPIX、ニューヨークダウ、S&P500など指します。これらはインデックス=指数というものです。
インデックス投資とはこの指数に連動するように買うということでVTIは全米の上場企業約4,000社に投資していると同じことです。
リンク(一般NISA、つみたてNISA、iDeCoおすすめ運用商品)
①つみたてNISAおすすめ銘柄の選び方
②NISA、つみたてNISA銘柄 徹底比較
③iDeCoおすすめ銘柄(楽天証券)
ここで有名なおおすめの①楽天VTIについて説明いたします。
日本に住んでいて日本株ではなくなぜ米国株式なのか、こちらも合わせて解説いたします。
日本の個別株(例えば、SONY、任天堂、トヨタなど)は上級者向けと言えます。というのも会社の個別事情があって確証が持てない。それは大手企業であっても突然倒産したり、不祥事があったりするので、どんな理由で上がったり下がったりするのか非常に予測がつきづらい。
一部の専門知識をもつ株式投資家という方しか個別株で増やすことができない訳です。
なので、初心者が株式で儲けようとするとほとんどの人が失敗する訳です。
では、どうすればいいのか。インデックスに投資することです。
インデックスは比較的先が読みやすい。
というのも米国は10年20年という単位でみると人口も増えているし、イノベーションもあって今後も将来性があります。
VTIは米国上場4,000社の株式を買っているのと同じであり、1社がつぶれても投資による資産の減少は非常に小さい。個別株だとその損失も大きい。なので、インデックス投資は初心者におすすめの投資手法です。
大きく儲けるというよりは負けないことが大事です。インデックス投資とは負けない投資手法とも言えます。
日本株はなぜ上級者向けということをもう少し説明しておきます。
日経平均株価の30年間のチャートを見てみると
1990年のバブル期に最高益(38,915円)が出ているが、それからずっと上がったり下がったりを繰り返しています。鍋底状態であり、過去の最大益を超えられていない。最近ではアベノミクスであがったりしていますが、いつまで上昇が続くかわからない。
日本株で儲けようとすると「うねり取り」をする必要があります。
すわなち、売ったり買ったりしないと儲けることはできません。
売るタイミングや買うタイミングも難しいので、日本株は中級者、上級者向けとなります。
米国株、特にVTIは上場以来、ずっ~と右肩上がりで成長しているので、買って持っておくと儲かる訳です。
なので、米国株は初心者向けということになります。
VTI設定(2001年5月24日)以来、平均リターン 8.11%
平均年率8.11%ということは仮100万円を1年間預けると8.11万円に増えるということです。100万円×8.11%=8.11万円
VTIの運用コスト(経費率)は定期的に見直されており年率0.03%です。(2022年2月時点)
用語の解説
経費率
ファンド(投資信託)の資産残高に対する、ファンドの運用などにかかる経費の比率のこと。経費には信託報酬や有価証券の売買委託手数料、保管費用などが含まれます。例えば、純資産額1,000億円のファンドで1年間に1億円の経費がかかった場合、経費率は1億円÷1,000億円×100=0.1%です。
信託報酬
ファンドの運用や管理にかかる手数料こと。ファンドの資産の中から運用会社に支払われるため、投資家が間接的に負担するコストといえます。
まとめ
早い時期からNISAとiDeCoを併用して運用することで、将来の老後資金は安泰かと思います。今後の資産形成を考えるとやらない選択肢はないと思います。思い立ったが吉日といいますが、早期に運用をはじめることをおすすめいたします。
(引用元)/楽天証券HP、SBI証券HP、日経HP、厚生労働省QA、バンガード社他
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