日常生活に潜む心理的バイアス


みなさんも一度は聞いたことのある言葉と思います「正常性バイアス」や「同調性バイアス」について調べてみたので、ご紹介します。

正常性バイアスと同調性バイアスは、社会心理学や災害心理学などで使用されている心理的用語です。

では、具体的な事例をもとにみていきましょう。

バイアス(bias)とは「傾向」「先入観」「偏り」「かさ上げ」など訳した言葉です。

シチュエーションによっては「思い込み」や「色眼鏡で見る」という意味もあります。


正常性バイアスと同調性バイアス


正常性バイアスとは

個人差で多少なりとも感じ方が違いますが、異常事態が起こっても、自身のこれまでの先入観や固定観念、既成概念など経験則や記憶の中から自分にとって都合の悪い情報を軽視して「これくらいなら大丈夫」 と判断してしまう心理現象です。

人は都合の悪い情報は無視する傾向があります。



同調性バイアスとは

みんなと同じ行動をとっておれば「大丈夫」と判断してしまう心理現象です。



しかし、大雨警報発令時や台風来襲時などの異常事態時に正常性バイアスや同調性バイアスが働くと危険な目に遭遇して被災する可能性が多分にあります。

例えば、以下のようなケースです。


ケース①火災報知器が鳴った場合


火災報知器の鳴動を異常と思わずに「よくある誤作動」や「いつもの定期点検」であると思い込んでしまい、避難や初期対応が遅れてしまう可能性があります。


 

ケース②大型台風が接近している場合


ニュース報道で「早めに避難してください」と呼びかけているにも関わらず「自分のところは大丈夫だ」と判断して被災してしまう可能性があります。


心理的バイアスの診断テスト


ご自身の異常時に心理的バイアスの有無を判断するための簡単な診断テストを行いますので答えてください。


【問題】


職場や学校や外出先で非常ベルが鳴っているのを聞いた時、あなたはどう行動しますか?次の回答群の(1)~(4)から選んでください。



【回答群】


(1)点検だと思って何も行動に移さない


(2)みんなが避難していないので、大丈夫だと思い行動しない


(3)煙が出ていないし、大丈夫だと思い行動しない 


(4)危険と感じて安全な場所に避難する













【回答と解説】


上の質問で問題となる心理的なバイアスが働いた回答は(1)、(2)、(3)です。


(1)は「非常ベル」=「点検」という過去の経験などから自分にとって危険な状況と認識できない正常性バイアスが働いています。


(3)は「非常ベル」=「火事」=「煙が見える」という固定観念から火事以外の危険の可能性があることを認識しない正常性バイアスが働いています。


(2)は周囲の人の行動をみてそれに合わせてしまう同調性バイアスが働いています。同調性バイアスとは集団の中にいるとついつい他人と同じ行動をとってしまう心理です。通常の日常生活では協調性につながりますが、災害時には周囲の人の様子をうかがっているうちに避難が遅れる原因にもなります。


(4)は先入観や固定観念がなく心理的なバイアスは働いておらず正常と言えます。


心理的バイアスが働いた災害事例


正常性バイアスと同調性バイアスが働いて被災された災害事例を紹介します。


2018年6月から7月にかけて、多くの被災者や犠牲者をもたらした西日本豪雨災害です。


気象庁は事前に記者会見するなどして警戒を繰り返し呼びかけていたが、数十年に1度の大雨が予想される「大雨特別警報」が発令されるも避難せずに自宅に居た人がほとんどであった。なぜ犠牲者の多数は屋内から発見されたのか。

それは被害に巻き込まれることが予想される事態に直面しても人は日常生活の延長上と認識してしまいがちで都合の悪い情報を見過ごすなど『自分だけは大丈夫』と思い込んでしまう傾向があるからと専門家は警鐘を鳴らしています。


確証バイアス


正常性バイアスは都合の悪い情報を遮断する心理現象ですが、

確証バイアスとは人間は仮説や信念を検証する際に都合の良い情報ばかりを集め、反対の情報を無視してしまうという心理現象のことをいいます。


例えば、ちょっとでも欲しいと思ったものは感想やレビューから良いことが書いてあるものだけを探して買いたい理由を無理に作ってしまう場合や嫌いな人を見ているとその悪い所にばかり目がいってしまうのは確証バイアスに陥っていると言えます。


さらに占いなどの中で誰にでも当てはまる内容を自分にだけ当てはまると勘違いしてしまうという「バーナム効果」も確証バイアスの一種と言えます。


また、脳にはRAS(網様体賦活系)機能が備わっています。


RASとは、Reticuiar Activating Systemの略で自分にとって必要な情報だけを選別してインプットするフィルターの役目を果たす機能です。

RAS機能の例をあげると車を購入した途端、街で同じ車種の車をやたらと目につくようになるのがそれです。

車が自分にとって特別なものになったため、RAS機能が働いて脳がその車種をインプットするようになったのです。RAS機能も一種の確証バイアスと言えるでしょう。


まとめ


正常性バイアスや同調性バイアスは普段の日常生活では協調性となり、不安や心配を減らす役割がありますが、異常事態では逃げ遅れなど危険に巻き込まれる原因にもなります。


従って、事件や災害の発生の可能性がある場合はとりあえず自分の身の安全を確保するために逃げておくべきと考えます。

もしも、火災報知器が誤報だったとしても行動したことに対して後悔することはないですが、本当に避難すべき状況であった場合は命が助かります。


固定観念や先入観にとらわれずに有事の際は経験則をもとに自分の考えは正しいとの先入観を持たずに、他の意見や考え方に興味を持って、多様性を認める意識で行動していきたいものです。

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