体内時計って何?
体内時計とは何?
なぜ、夜になると眠くなるのか、朝になると目が覚めるのか。身体の中には、体内時計が備わっているという。その体内時計とは一体何か?
我々人間は腕時計やスマートフォンなどを持っていて、朝7時だから起きて学校や会社に行く準備をしないといけない、12時だからお昼ご飯を食べようと決めて行動しています。これは時計を持っていない野生の動物も実は1日の中ですることが決まっているという。彼ら野生動物や人間の脳の中にある時計を使って行っているしくみのことを体内時計と呼んでいる。
体内時計は学問的な難しい言葉でいうと「概日周期」または「概日リズム」と呼ばれている。概日とは、約という意味で、約1日の周期を持ったものと考えてもらうとよい。
概日リズムとは、脳の中には時計があるが、実は脳がない生物なんかにも周期は存在している。
例えば、植物なんかにもあることがわかっている。おそらく、ほとんど全ての生物が24時間の周期を刻むような仕組みを持っている。24時間の周期を刻むのが大事であるが、もうひとつ大事なものとして、それが外の環境と同調しないといけない。結局、地球は24時間かけて自転するので、必ず、夜と昼がどこにいても繰り返しやってくる。24時間または365日の周期的に変化するものに対して、生物や植物はそれに対応していかないといけない。それに対応するために発達してきたものが概日リズムと呼んでいる。わたしたち人間の場合には目から入る光これが昼間というのを正確に表してくれるので、目から入る光を受けて身体のリズムを調節している。
光が感じられない暗闇の中にいると体内時計は狂ったりしないのか?
人間を洞窟とか光が入っていないところで生活してもらうと、実は24時間より少し体内時計がズレることがあるが、約24時間という周期の中で時計がなくても生活できる。
体内時計はどこにあるのか?
人間の場合は、脳の真ん中あたりの視床下部というところにあるが、わたしたちが普段、意識できないところにある。視床下部は色々なホルモンの分泌であったり、食欲の制御をしていたりするところで体内時計の中心であることがわかっている。
なぜ、ここが体内時計の中心かというと動物を使った実験で視床下部を壊して行う実験があり、視床下部自体はすごく小っちゃなもので壊しても何も困らないが、この動物を真っ暗ところに入れて行動を観察すると時計がぐちゃぐちゃになって周期がなくなってしまい、この研究から行動リズムの中枢だということがわかった。
ショウジョウバエと人間の遺伝子が同じ?
ショウジョウバエも人間も数万個の遺伝子を持っているが、そのうち半分くらいは同じ祖先から由来している同じ遺伝子を持っている。同じ遺伝子を持っていることに驚くことはないが、同じ体内時計の遺伝子を持ち、同じ働きをしている。
体内時計を動かすもとになっている遺伝子はピリオドという遺伝子!
ピリオドという遺伝子はもともとショウジョウバエから発見された遺伝子で、このピリオドという遺伝子が人やマウスにもあるのが見つかって、マウスでピリオドという遺伝子を壊してしまうとマウスの体内時計がおかしくなった。
人間の家族でめちゃくちゃ早起きの家族が居て、この家族のピリオドという遺伝子を調べると異常があることがわかり、ピリオドという遺伝子が体内時計を作り出していることがわかった。これは2017年ノーベル賞をもらった価値のある研究であった。
体内時計を維持していくためにわたしたちが必要なこと
規則正しい生活をする、食事にしても睡眠にしても規則正しい生活をすることが体内時計を維持できる秘訣である。
昼夜逆転している人や体内時計を整えたい人は
体内時計は光に一番敏感に反応するので、朝、早い時間帯で光に当たるというのが最も大事である。
逆に夜遅い時間帯には強い光は避けた方がいい。光の調整は朝、カーテンを開けたら光が入ってくるし、夜であれば、電気を暗くしてもらえば調節できるので、光を気にしてもらうとよい。
まったく光の入らないところで生活していると睡眠のリズムが乱れたりするので、朝起きると強い光を浴びるとよい。これは照明でもいいので、照明を強くするとか、外に出るのが最もいい。カーテンを開けるだけでよい。
光については、自然光ではなくても人工の照明でもよい。効果は変わらない。日中のお昼は明るめにして、夜は逆に少し暗めにするのがよい。
まっくらな部屋で寝るのがいいのか、豆電球くらいの明るさで寝るのがいいのか
面白い研究があって、満月くらいの明るさの光でも睡眠に影響するという。
しかし、一般的には普通の家庭で豆電球をつけておくレベルでは悪い影響はないと考えてよい。
著書「時間の分子生物学 時計と睡眠の遺伝子」/名古屋市立大学院教授 粂 和彦 引用
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