すぐやる脳の作り方

仕事や家事をついあと回しにして、無駄な時間を過ごしてはいませんか。 

「すぐにやれない」のはみんな同じです。先延ばしにするのは、太古の昔から人間の脳はそもそも怠惰に出来ているからです。 

ちょっとした工夫で誰でも「すぐやる脳」に変身できますと提唱するのは 脳神経外科医の菅原道仁先生です。

すぐやる脳の作り方やそもそも何故、脳が怠惰なのかそのメカニズムを解説していきます。 


◆脳が怠惰な理由3つ

①エネルギーを節約するため

脳はとんでもなく燃費の悪い臓器でわずか1.4Kgほどの重さなのに、人間が1日に必要とするエネルギーの20%を消費します。

そこで、エネルギーを節約しようとあの手この手で休もうとするのです。

これは太古の昔から常に外敵から身を守る必要があり、外敵が現れた際は一目散に逃げるか、必死で戦うしかありません。

肉体にエネルギーを注がなければならないので、脳がエネルギーを使わなくなったようです。

人間が今日のように食糧に困ることがない社会になったのは、人類の歴史から見れば、つい最近のことですから、脳の機能が社会の変化に追いついていないのです。 


②脳には「周りに流されやすい」という特徴がある

幼い子どものように「みんなと一緒」という状態を好みます。

このような癖を経済用語では「バンドワゴン効果」と呼び、「○○が流行っている」、「みんな△△をしている」という情報を知ると、自分もそうしないと不安になるのです。

反対にみんながしていないことには、自分もしたくないという心理が働くため、誰も頑張っていない場所で自分だけ頑張ることができないのです。 


③脳は誘惑に弱い

 例えば、満腹な状態でケーキを目にした途端、「別腹」といって食べる人は少なくありません。

人間の脳は視覚、聴覚、嗅覚などの五感によって過去の体験を呼び覚まし、新たな欲望が生じやすくできています。怠惰で誘惑に弱い。これが脳の本性です。

 なので、みなさんの「先延ばし癖」も実は自然なことであって、自分を責める必要はありません。


社会生活を送る上で「先延ばし癖」を放置できないので、「すぐやる脳」にするのはどうすればいいのでしょうか。 

脳科学の観点からいうと、やる気を出す神経伝達物質「ドーパミン」をいかに分泌させるかです。

人間は成功体験した時、脳内にドーパミンが分泌されます。ドーパミンが出ると心地よい状態になり、また、その状態になりたいと脳の中でその行動にまつわる部位の働きを活性化させようとします。

そのような傾向を「強化学習」と呼びます。つまり、ドーパミンには依存性があるのです。

 さらにドーパミンは成功体験だけではなく、成功が予測される時も多く分泌されます。その効果によって「やる気」を引き起こすのです。

ドーパミンをコントロールすることで「やりたくない脳」を「やりたがる脳」に変えられるというわけです。


 ドーパミンをコントロールするには、次の3つステップを実践します。 






偽りの薬も本人が信じて飲むと、症状に改善が見られることは医療の世界でも知られています。

これは「プラシーボ効果」と呼ばれるもので、この効果は自己暗示でも表れると言われています。 

「○○を△分で行う」「今日は○○を必ずやる」などと、小さな目標を声に出して言う。

声に出していうことで自分に言い聞かせることで、脳をやる気にさせられるのです。

この時、声に出すのがコツです。

自分の声を聞くことで、聴覚に働きかけ、脳に強く刻みこむと、より効果が高まります。


大きな目標にいきなり挑戦しても、達成感を得るまで、時間と労力がかかるので、ドーパミンは出ません。

そこで、神経学者ジュデイ・ウィリス氏は「小刻みに目標を設定すること」を勧めています。

スモールステップ化することで、ドーパミンを思い通りに出せるようになるからです。

 例えば、仕事で本を1冊読まなければならない時、一気にまとめて読もうと思うと、なかなか読み始めることが出来ません。それを「1時間で3分の1読み終える」と目標を小さくすると、すぐに読み始められる上、3分の1しか読んでないのに、達成感を味わえます。

 目標の重要性や達成度の大きさではなく、フィードバックの回数の多さを重視する(できるだけ細かくする)ところにポイントがあります。



ドーパミンは人が目標を達成した時だけではなく、成功を予測したり、望みが達成できることが期待できるといった報酬が予測されるときにも分泌されます。

では、ドーパミンを多く分泌させるのはどうすればよいのでしょうか。

 基本的なところからいうと、心身の健康が第一です。

疲労が溜まった状態や過度のストレスを抱えている状況では、ドーパミンの分泌が抑えられます。

そのため、睡眠時間をしっかりとることが重要です。 

もうひとつはやる気があろうが、なかろうが、まず始めることです。 

作業を始めることで、脳内のやる気スイッチが入り、そこからやる気が湧いてくるというメカニズムが脳にあるからです。 

ということで、「すぐやる」ための最善策は状態も状況も気にせず、何よりまず着手することが重要です。 

実はこれが結果を出す人と出せない人の差でもあります。 

やる気が出るのをぼんやりと待つのではなく、行動することでやる気を目覚めさせてください。 

また、ウォーキングなどの適度な運動もお勧めです。

一般的に運動は血流を促進し、脳にも酸素が十分に供給され、パフォーマンスが上がり、加えて作業興奮の原理が働きます。 

「すぐやる人」になるには、完璧主義をやめることも非常に重要な要素です。 人は質を求めれば求めるほど、着手するのが遅くなるのが常なのですが、その理由は「逃避」という心の「防衛機制」が働くからです。


100点を目指す仕事の仕方ではなく、合格点スレスレで十分だと思えば、行動を始めるハードルが下がります。 

質を極めて時間をかけるより、完璧ではなくてもアウトプットの総量を増やすほうが、現代の仕事のあり方として評価されると考えます。

 また、「仕事は決められた順番通りにするもの」とか、「読書は1ページから始めるもの」と思い込んでいる人も多いですが、仕事も読書も興味のあるところから始めればいいと割り切ることは大切です。 


 それでは、具体的な「すぐやる脳」を作るテクニック8つをご紹介します。 






ウォーキングで脳に酸素を送ることで、ドーパミンの分泌を促す。 

また、運動には心のストレスを取り除く効果もあるので、目の前のことに集中しやすくなる。




完璧を目指すとハードルが高くなり、腰が重くなる。そもそも、現代では時間をかけて100点を目指すより、80点を素早く仕上げる方が評価される。




結果が出せない人は「始めるまでの時間」がムダに長い。

脳には、作業を始めることで、やる気スイッチが入る「作業興奮」という仕組みがある。着手すれば、やる気を後からついてくる。




 自分の希望する将来像に近い人や憧れの人にメンターになってもらうと、最短距離の正しいスモールステップが作れる。身近にいなければ、本なとでもOK。



新しい領域に関心を拡げると知的欲求が増し、脳が活性化する。

未知の領域を開拓するには、書店でふだん行かないコーナーに足を運んでみるのがお勧めです。



 睡眠不足では脳のエネルギーが不足し、物事への関心も薄れ、新しいことをしたくなくなる。心身のストレスをとることが、目の前のことに集中するコツです。



興味のないことを始めるのは苦痛なものだ。「すぐやる」には順序を気にせず興味のあることから始めたほうがいい。本も好きなところから読むほうが入りやすい。




 キリが悪いところでやめると脳が緊張状態を強いられ、早く続きをやりたくなる。連続ドラマも毎回キリの悪い展開で終わる。あえてキリの悪いところでやめるのが再開のコツ。


以上のように脳の特性を理解した上で、ドーパミンをうまくコントロールすれば、あなたも「すぐやる脳」になれるでしょう。  




 【出典元】著書「すぐやる脳」/著者「菅原道仁」(サンマーク出版)




 


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